小山嵩夫クリニック(東京都中央区)小山嵩夫先生

なぜ「複数科受診]が起こるのか
更年期医療が、女性も経済も救う

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日本では更年期医療の認知度は低く、HRT(ホルモン補充療法)の普及も欧米諸国、韓国、台湾などに比べてまだ低い状況です。こうした中、更年期女性の中には、症状を抱えたまま正しい診断や処方になかなかたどりつけず、不安がつのり、症状が深刻化してしまう例も少なくありません。

適切な更年期医療が行われることは、国民医療費の改善にもつながるといわれます。日本の更年期医療を牽引し続けてきた婦人科専門医小山嵩夫先生に、この問題を伺いました。

 


50歳前後の女性の症状は、まず更年期を考えて

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めまいや動悸、耳鳴りなどの症状に不安になって受診しても、原因がわからないということが、更年期世代の女性にはよく起こります

女性は50歳前後で何らかの症状が出たら、まず更年期を考えてみることが大切です。ところが、日本ではその「更年期の概念」を持つ先生が、まだ少ないんですね。つまり、「女性は閉経前後にエストロゲンが激減し、それによって心身の自律神経失調症状、骨量減少、高血圧、高脂血症などが起こりやすい」ということです。そこで、動悸がするといえば心電図や心エコーをとる、場合によっては入院検査となり、何もなければ「気のせい」「神経質だから」といわれてしまいます。

 

検査代はかかり、結果も納得できない。そのうち、別の不安な症状も起こってくる。そこで他の診療科にかかる。いわゆる「ドクターショッピング」ということですが、当会でも電話相談などのデータをもとに、この「複数科受診」の問題を提起してきました

そうですね。各専門科は、やはりその専門性を重視した医療をしますから、頭痛で脳外科にかかれば、どうしても「頭の中に影があるんじゃないか」「血管が詰り気味で、流れがよくないですね」という対応になります。患者さん自身も、それを期待して専門科にかかるのだと思います。

同様に、肩こり、めまい、血圧の上昇、肝機能の低下などが同時に起こると、各科で検査も増えていきます。さらに、眠れない、食欲がない、気持ちが落ち込んで体が動かない、などのうつ症状が出ると、心療内科で抗うつ剤などをもらうことになる。こんなふうに各科ごとの治療に翻弄されていて、いつの間にか4~5年ぐらいたってしまったという方は非常に多いですね。

 


複数科受診で薬が増え、医療費があがる

そのように複数科を受診していると、薬の量も増えてしまいます

それぞれの先生方が、患者さんの訴える症状に対してそれぞれの考えで検査・投薬をしますから、あっという間に薬が合計で10種類ぐらい処方されてしまうんです。

 
初めから、適切な更年期医療を受けることができれば、それは処方されなくてよい薬なのですか

当院の症例研究(※)ですが、たとえば、内科、整形外科、心療内科で、不整脈、高血圧、骨粗鬆症等の治療薬、自律神経調整剤、消炎鎮痛剤、入眠剤、便秘薬などをもらっていた女性の場合、それまでにかかっていた薬価は一日合計で1,404円(薬価計算)でした。 これを、HRT(ホルモン補充療法)を中心に、漢方薬、ゆるやかな精神安定剤の3つに切り替えていった結果、一年後の薬価は一日合計170円にまで下がりました(※)。

 

9分の1の金額ですね。健康保険では、その3割が患者さんの払う金額となります

もちろん、このように患者さんの満足を得ながら医療費コストを下げるには、十分な問診時間を持ち、お話をよく聞くことが大前提です。

 

今の健康保険の制度では、「話を聞く(問診)」に対して保険点数があまり加算されず、話をよく聞いてくれる先生ほど経営が苦しくなるという問題があります

国全体の医療費削減のためにも、これはもっと啓発されていかなくてはいけない問題ですね。

 

(※)資料出所:「更年期障害への多剤投与を考える」小山嵩夫(『更年期と加齢のヘルスケア』2007 VOL.6-2)

 


HRT処方の「いつまで」「何年」。世界の基準をきちんと知ること

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新聞に、“HRTのガイドラインが作成され「更年期障害へのHRT処方は60歳まで」となる”という記事が出ました。当会の電話相談にもたくさんの不安や疑問の声が寄せられています

私のところにも、毎日一人ぐらいはその記事の切り抜きを持った人が来ますね。実際には、今後、産科婦人科学会から出るガイドライン(治療方針)を見なければわかりません。ただ、世界では「60歳まで」などということは言っていません。
2007年に国際閉経学会(IMS)が発表した指針(※)では、『HRTの投与期間に一律な制限を設けてはならない』となっています。また、いつまで投与するかは『個々の症例ごとに検討して決める』としており、5年間とするといった記述はありません。

 

(※)資料出所:「世界の流れはHRT再評価へ」(HRTは女性の社会貢献を支援する医療)資料出所:「巻頭言」小山嵩夫(『更年期と加齢のヘルスケア』2008 VOL.7-1)

 

日本で、HRTを5年以上続けている人はみんな不安になっていると思いますが

「効果がわかっているから65歳になってもやめたくないけれど、やめなきゃいけないですか」とわざわざ聞きに来られる。患者さんの気苦労を考えるとつらいですね。「きちんと管理されていれば、大丈夫ですよ」というのですが、新聞などに書かれていることの影響は大きいです。実際に、5年経つと一度やめる人もいます。しかし、「HRTがないと他の薬をいっぱい飲まなくてはいけない。HRTだけなら1種類だけですむので」といってまた戻ってくる方も多いです。

 

そうした中で、先生が立ち上げた「更年期と加齢のヘルスケア研究会」は、2008年11月に学会になるとのことですが

そうですね。学会としてこの問題にはきちんと声明を出し、国際閉経学会、北米閉経学会など、HRTの臨床経験を多く持っている国の基準はこうなっているということを周知させたいと考えています。

 


よりトータルな女性の健康管理をめざして

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女性の生涯にわたる健康管理対策の一つとして、キレーション療法を導入されています

キレーションの目的は、体内の重金属を排出させるもので、アメリカでは動脈硬化の予防と治療などにもとりいれられている療法です。また、NIH(米国国立衛生研究所)では2003年から5年計画で、「キレーション治療が心臓疾患に与える影響について」臨床試験が行われています。水銀や鉛、ヒ素、カドミウムなどの重金属は、日常生活の中でしだいに蓄積されて、頭痛、貧血、うつ症状、情緒不安定、アレルギー症状などの原因となると考えられています。

今、更年期を迎えている女性では、過去に歯科治療の充填金属として使われていたアマルガム(水銀)や、大気汚染、農薬、魚介類を多く食べすぎることも体内に重金属が蓄積する要因と見られます。詳しくはクリニックまでお問い合せください。

 


プロフィール:小山嵩夫(こやまたかお)先生

1968年
東京医科歯科大学医学部卒業。同大学産婦人科入局。
米国留学後、東京都立母子保健院産婦人科医長、東京医科歯科大学医学部産婦人科助教授
1996年
小山嵩夫クリニックを東京都中央区銀座に開業。専門は生殖内分泌学。日本産婦人科学会の評議員、日本更年期医学会代表幹事を歴任
2002年
『更年期と加齢のヘルスケア研究会』の代表世話人を務める

 
小山嵩夫クリニック
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東京都中央区銀座6-9-3 不二家銀座ビル4F
TEL 03-3571-5701 (要予約)
診療曜日、時間など詳しくは病院にお問い合せください。

 

更年期、子宮内膜症、月経不順、骨粗鬆症などについて、西洋医学・東洋医学の両面から長期的かつ効率的な医療を行う女性クリニックです。(自費治療)