生活習慣病

生活習慣病は自覚症状もなく、静かに進行します。女性ホルモン・エストロゲンには血管をしなやかに保ち、内臓脂肪を分解しやすくするなど多くの働きがありますが、更年期以降はエストロゲンが減り、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、心臓病、脳卒中などの生活習慣病のリスクが高まります。

高血圧は動脈硬化を進行させ、脳や眼底、心臓、腎臓などに合併症を引き起こします。血圧を目標値の範囲内に調節することは、全身の血管を守ることにつながります。血圧を測るには、上腕カフ血圧計を用い 、2回測定してその平均値を血圧値とします。診察室で測る血圧値は、家庭で測るより高くなりがちなので、受診時には家庭血圧の記録を持参すると医師の判断にも役立ちます。

 

治療による目標血圧値(成人血圧、単位はmmHg)

☆若年者、中年者、前期高齢者(~74歳)

診察室血圧  140 / 90 未満 (家庭血圧 135 / 85 未満)

☆後期高齢者(75歳以上)

診察室血圧 150/ 90 未満 (家庭血圧 145/ 85 未満)

(様子を見ながら下げられれば)→

診察室血圧140 / 90 未満 (家庭血圧135 / 85 未満)

☆糖尿病患者、タンパク尿のある慢性腎臓病患者

診察室血圧 130/ 80 未満  (家庭血圧125/ 75 未満)

(一般向け高血圧治療ガイドライン「高血圧の話」より)

血圧を目標値以内に保つには、減塩、運動、肥満是正が大切です。減塩は1日6グラム未満が目標ですが、厚労省のすすめる女性1日7グラム、男性1日8グラムに近づくことから始めるのも方法。野菜や果物、青魚を多く摂り、ウォーキングや筋トレを続け、アルコールは控えめに、たばこは禁煙しましょう。

 

日本女性の13.1%が糖尿病予備軍(糖尿病の可能性を否定できない人)と推定されています(平成24年「国民健康・栄養調査」による)。血糖値は、体内のインスリンというホルモンによって、ほぼ一定に保たれていますが、インスリンが不足したり、効き方が悪くなったりして、高血糖状態が続くのが糖尿病です。

糖尿病は進行すると、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、神経障害などの合併症につながります。

女性ホルモン・エストロゲンにはインスリンを効きやすくする働きがありますが、更年期以降はエストロゲンが激減し、代謝機能が衰え、内臓脂肪が蓄積されやすくなることも、女性が糖尿病にかかりやすくなる要因です。

中高年に多い2型糖尿病では、食事療法、運動療法を守り、それだけでは不十分な場合には、血糖降下薬やインスリン注射による薬物療法も必要になります。

糖尿病の食事では、栄養のバランスと合わせて、その人に適切なエネルギー量を守ることが基本です。高カロリーの食品や、早食いなども血糖値が急に上がりインスリンを多く必要とするため、食べ方にも注意が必要です。

 
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 生活習慣病の予防では、野菜類を1日350g以上食べることが目標とされます。しかし実際には、成人の野菜類摂取量の平均値は、286.5g。どの年代でも目標には達していません

(平成24年「国民健康・栄養調査」による)。しかし、詳しくみると、350グラム以上食べている人が29.6%いる一方で、210グラム未満しかとっていない人が37.2%と、個人差が大きいことがわかります。自分はどのくらい野菜を食べているか、注意しながら目標に近づけるようにしましょう。

 

平成24年「国民健康・栄養調査」野菜類摂取量の状況

350グラム以上 : 29.6 %

280~350グラム : 15.2 %

210~280グラム : 18.0 %

140~210グラム : 17.9 %

70~140グラム : 13.3 %

70グラム未満 : 6.0 %

 

野菜に多く含まれる食物繊維は、糖分の消化吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を穏やかにしてくれます。野菜をたくさん食べる料理献立を工夫し、ゆっくりよく噛んで食事を楽しみましょう。

 

高齢者の低栄養は老化の一因といわれ、最近、関心が高まっている課題です。とくに、たんぱく質は、筋肉の減少を抑え、骨量の維持や骨折の予防と合わせ、免疫力や体力の低下を防いでくれます。 高齢になっても、たんぱく質を十分に摂ることの重要性が指摘されています。しかし、年齢とともに食べる量が減ったり、独り暮らしでは肉や魚の調理は面倒などと、自覚がないまま低栄養になりがちです。毎日の食事では、たんぱく質を多く含む肉・魚・豆、新鮮な野菜や果物、乳製品、質の良い油脂、穀物を、単品ではなく、組み合わせてバランスよく摂りましょう。試みに、その日食べたものをメモしてみると、たんぱく質が不足しているなど意外なことに気が付くきっかけになります。
 

睡眠の役割には①心身の疲労回復②記憶を定着させる③免疫機能を強化するなどが挙げられます(厚労省「みんなのメンタルヘルス」参照)。このように心身の両面の健康に重要な睡眠ですが、年齢を重ねるにつれ、早朝覚醒や眠りが浅くなり時間も短くなるなど、睡眠の質が変化してくることが知られています。睡眠に関係するホルモン、メラトニンの分泌が低下するなど、生体機能のリズムの変化もその要因といわれます。また、生活上のストレスも睡眠の妨げになります。

よい睡眠のためには、朝決まった時間に起きて、散歩などで太陽の光を浴びる、日中は積極的に体を動かして活動的に過ごすことが効果的です。寝不足で頭がぼんやりしていると思ったら、30分以内の短い昼寝で補うのも有効です。寝る前の準備では、ぬるめの入浴や簡単なストレッチ、テレビやパソコンなど強い光を遅くまで見すぎないなど、よい睡眠のための習慣をつけるようにしましょう。寝室の温度、寝具の工夫、静かな音楽、好みの香りなども効果的です。いやな出来事を突き詰めて考えたりするのも眠れない原因になります。ベッドに入ったら、意識的に楽しいことを思い浮かべるようにしましょう。

どうしても睡眠薬と思ったら、医師に相談して自分に合う種類のものを処方してもらいます。しかし、薬に頼るだけでなく、よく眠れる自分なりの方法を見つけ、習慣づけることも忘れずに。