HRT(ホルモン補充療法)、その後の評価について

HRT(ホルモン補充療法)、その後の評価について

更年期医療のHRT(ホルモン補充療法)に関して、昨年度(2006年)はその評価に新たな展開がありました。
今年度も当会活動を積極的に行っていくにあたり、今日分かっているHRTの評価について少しまとめておこうと思います。


WHI中間報告の顛末


2002年、アメリカで行われた大規模臨床試験で、HRTは心臓血管系疾患、乳がん発生などにリスクがあるという中間報告が行われたことを記憶している方も多いと思われます。
日本でも、HRTについて女性たちにも不安が広がり、使用率も減少していました。

しかしその後、このWHI中間報告の研究対象者が、
 ・高年齢  HRT平均開始年齢63歳
 ・肥満   平均BMI28.5(※) 
 ・約半数が喫煙経験者
 ・35%が高血圧症

などの、年齢層も更年期より高齢であり、あまり健康とはいえないの女性たちであることがわかりました。

HRTの開始年齢は一般的には50歳代であり、一般の更年期女性には当てはまらないとしてアメリカで見直しのサブ解析がなされました。
日本更年期医学会では、中間報告直後からWHIの研究対象者は日本の更年期女性には全く該当しないとの見解がなされていました。


再評価されるHRT



その結果、2006年4月、国際閉経学会(IMS)のステートメントでは
 ・エストロゲン単独投与(ERT)5年以上で、25%乳がん発症が減少したこと
 ・50歳代にHRTを実施した場合心臓血管系疾患や物忘れに有効な結果を
  得られたこと

が発表されました。

さらに昨年(H18)10月、第21回日本更年期医学会のHRTコンセンサスミーティングで埼玉医科大学佐伯教授が、
 ・HRT服用者について、非服用者と比べて乳がん発症が35%減少した
  (厚生労働省班研究・佐伯班)

との報告を行ないました。

また、最新のニュースとして, 12月10日の朝日新聞朝刊で上記の厚労省研究班・佐伯教授の12月時点での報告として「更年期障害ホルモン補充療法・乳がんのリスク、日本人は6割減」の記事が掲載されました。


このような報告により、HRTは閉経後の女性にとってはむしろベネフイット(効用)の方が高く、的確に管理すれば5年以上の投与も問題はない、極めて有益性の高い治療法ととらえる方向が世界的にも強くなっています。

また、 昨年9月に開催された「更年期と加齢のヘルスケア研究会公開プレスセミナー」のテーマである、「国民医療費を救うHRTの医療経済的効果」について、当会からも更年期女性の受診状況の実例を示して医療費削減につながるHRTについて提案を行ないました。

当会では、これら再評価の見解や医療費の問題などについて、女性にとってHRTがより安心して使いやすい治療法となるよう、さらに40代からの女性にとっての更年期医療の有用性などについて、これまでと変わることなく受け手側の立場から、日本女性に適した的確な情報発信をしていきたいと考えております。


 ※BMI(体格指数)は体重÷身長÷身長で導き出せ、18.5〜25が標準とされています。
  BMI28.5は、身長160センチの女性で体重が約73sの肥満の状態を表しています。

NPO法人メノポーズを考える会 理事長 三羽良枝

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