三宅婦人科内科医院・三宅侃先生




ホームページやメールマガジンの充実は、おそらく日本で一番の婦人科クリニック。
またサイト内には誰でも相談できる掲示板があり、三宅先生自らこまめに回答を寄せています。
三宅先生に、更年期のうつ症状への対処を中心に、お話を伺いました。


 
インターネットの時代に、医療の正確な情報を提供する

インターネットの時代に、医療の正確な情報を提供する

専門的な内容がとてもわかりやすいことばで書かれているホームページ。いつも勉強させていただいています
うちに来る患者さんの7割は、ホームページを見てから来ておられます。僕がHRT(ホルモン補充療法)を勧めていることを分かった上で受診されているので、一からの説明が必要ない場合も多いですね。
更年期症状や治療法全般についても、すでにさまざまな知識を持っている方が多い
それには弊害もあります。インターネットの情報には、古いものも不確かなものもありますからね。
たとえばHRT(ホルモン補充療法)のことについて、インターネットから100項目拾うとしたら、以前なら6割は正しいことが書いてありましたけれど、最近は4割ぐらいと思ったほうがいいかもしれないですね。ブログなど、その人1人の経験でしかないわけだし。
しかし、多くの人は、10個見たら10個全部正しいと思えてしまいますからね。それで、解きほぐすのに時間がかかる時もあります。
できるだけ正しいものを読んで理解してほしいと思いますが、難しいですね。
そうした啓発もあって、正しい情報を伝えるためのサイト作りをされている
うちのホームページも細かすぎるかもしれないな(笑)。毎月1項目書いていこうと決めて4年間も続けたら、こんなになってしまったのです。

更年期のうつ症状に婦人科と心療内科の連携も重要

当会の電話相談にも、うつの悩みを抱えた方の声が多く寄せられます
更年期で一番の問題はのぼせやほてりではない、心理的な症状というか、悩みをもっている人でしょう。日頃の生活の中で、自分の考えや感じていることを十分聞いてもらえない環境にある人が多いのではないかなと感じます。
そこで、まず話を聞くということから入るのですか
初診の「出会い」の30分は、特に重要です。逆に言うと、最初の30分で十分に話を聞くことができれば、あとの治療はスムーズに行くことが多いのです。
特に、心の不調が強い人については、どのような対応をされていますか
カウンセリングなどの臨床心理的なアプローチが必要かなと思う人もいますね。しかし、いきなり「心療内科へ」と言ったら、患者さんはよけいに落ち込んでしまわれます。
そこで「今のあなたの症状は、更年期のうつと心療内科的な症状の境界領域にあって、重なっている部分もあると思う。一度、心療内科にも診てもらって、いっしょに治していきましょう」というふうに説明しています。
うちの場合は、近隣の心療内科の先生と連携しています。この先生は50代後半の女医さんで、患者さんの今のつらさを理解してもらいやすいと思います。
更年期にうつの症状を強く感じる時、婦人科と心療内科のどちらへ行ったらいいか、迷う人も多いようです。そのような連携があるとありがたい
そういう意味では、更年期を診る婦人科は、心療内科とのネットワークをいかに持つかということも大切でしょう。
もっとも、更年期症状としての抑うつ傾向の人は、多くがよく話すし、動きも多い。これは行動があまり抑制されていないせいであって、症状が軽いということです。

更年期のうつ症状とHRT(ホルモン補充療法)

HRTについて、よく理解して受診する人が多いのですか
ホームページを読んで「私はHRTを受けたい」と言ってこられる人は、更年期の治療で来る人全体の3分の1ぐらいかな。HRTについてマイナスのイメージ持っている人は来られないので、説明が長くなることはあまりないですね。
しかし、メリットやリスクと同時に、万人にうまくいく治療法でもないということも最初に説明しています。
『HRTガイドライン』(※)にも、HRTの抑うつ症状・うつ病に対する効果が示されていますが
私の実感としては、軽い不眠症ぐらいならHRTだけでもいいですが、うつ症状にはどうなんかなと。そこで、更年期でうつ症状だけがある人にHRTをする場合には、平行して心療内科でカウンセリングや精神科の処方を受けることを勧めています。
処方のしかたにも関係はありますか
更に、黄体ホルモン(プロゲステロン)を併用すると、うつ症状への効き目はあまり期待できません(※)。
そこで抑うつ傾向のある人には、黄体ホルモンをできるだけ少なめにしています。つまり、持続的併用(エストロゲンと黄体ホルモンをずっと使う)ではなく、周期的併用(エストロゲンを連続投与し、黄体ホルモンは月のうち10〜12日程度)にしたほうが、まだよいですから。
※『ホルモン補充療法ガイドライン』
(2009年7月、編集/監修 日本産科婦人科学会、日本更年期医学会)より
P.18「抑うつ症状・うつ病」(8行目〜)
・(26の論文を用いてメタアナリシスを行なった報告では)抑うつ気分に対するHRTの改善効果はエストロゲン単独で中等度の改善効果があるとしている。しかし黄体ホルモン単独またはエストロゲンとの併用は、この効果を減弱させる。

更年期から先のヘルスケアをどう考えるか

更年期医療の中で、HRTはどれほど必要なものでしょうか
その人の抱えている症状が、生活に困らない程度のものであるなら、治療が必要のない人もいるでしょう。
でも、更年期医療とは、更年期症状だけを診ているわけではありません。将来的なことを考え、骨粗しょう症や血管の健康維持のことを考えたら、閉経後の一定期間はHRTをしたほうがいい人がほとんどでしょうね。
女性の一生は常にホルモンに伴う何らかの病気・症状にさらされていますが、その長い一生の一時期としての更年期です。今までと同じように快適に過ごせるように、積極的にHRTを利用する方がよいと思います。
日本女性は平均寿命(余命)も世界一。「そもそも健康なのでは?」と言われてしまいそうなのですが
平均寿命が長いのは乳幼児の死亡率が低いせいもあるわけで、健康な高齢者が多いということではないのです。
医療の基本は個人の健康をどう守っていくかであって、そのための一つの手段として、閉経後の女性にHRTが役に立つということなのですよ。
たとえ平均寿命が100歳になったとしても、HRTがますます重要になるということには変わりはありません。
私たちも、生涯どのような健康を維持したいかを考えておかなくてはいけないですね
HRTで今ある更年期症状をとるというのは、わりあいと簡単なのです。
しかし、症状がとれたら、いつまで続けますか?と言う疑問が出てくる。僕はどちらかというと、リスクが少し増えてもHRTを続けて元気でいる時間が長いほうがいいのではないかと思いますが、それは個人個人の考え方ですからね。
結局、その人が将来的な健康についてどう考えているかということまでキャッチしていくとなると、初診にはやはり30分かかるということなんです。



 
三宅侃(みやけあきら)先生 三宅婦人科内科医院 院長

大阪大学医学部卒業 同産婦人科入局
米国カリフォルニア大学サンディエゴ校産婦人科に留学
大阪大学医学部産婦人科講師、助教授を経て、
平成10年 三宅婦人科内科医院 開業
日本内分泌学会代議員、日本不妊学会評議員、日本思春期学会理事、日本更年期学会評議員・認定医。日本女子プロゴルフ協会顧問医師 他


★三宅婦人科内科医院★ http://www.miyake-clinic.gr.jp/index.html
〒540-0033 大阪市中央区石町1−1−1 天満橋千代田ビル2階
TEL 06-6966-3063
診療時間等は直接お問い合せください。

女性ホルモンについての疾患を専門とするクリニックで、更年期だけでなく思春期の月経異常、不妊症、避妊、子宮内膜症・子宮筋腫のホルモン治療にも取り組まれています。
大阪の名医として、当会の電話相談でも関西方面の方からの医療機関問い合せにご案内することの多い先生です。
また、週1回は女性医師(甲村弘子・大阪樟蔭女子大学教授)の診察日があります。
ちなみに、受付に置かれた生け花は三宅先生ご自身が生けているそう。待合室のあちこちが花で飾られ、ゆったり落着いた雰囲気です。


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