
「もしかして更年期?」という不調を感じた時、身近に妊娠・出産から更年期・老年期まで長くおつきあいできる婦人科医院があったら気軽に相談できて安心です。
今回お話を伺った牧田先生は、主な診療の場を慶應大学病院産婦人科からご実家である牧田産婦人科医院(埼玉県新座市)に移されました。
更年期医療に重要な役割を果たす医師と患者とのコミュニケーションのあり方や「病診連携」についてお聞きしました。

どの施設でも更年期外来としての基本は同じですが、やはり病院の形態ごとに患者さんのニーズが少しずつ違うことを感じます。たとえば大学病院の場合、骨量検査を他で受け、骨粗鬆症の疑いで来られる方もいます。また、婦人科がんにより卵巣を全て摘出した後のホルモン低下による不定愁訴でこられる方には、術後の精神的ケアも必要です。そういう意味で、いろいろな要素が入ってきます。一方、個人病院の更年期外来では、ホットフラッシュやめまい、疲れやすさなど、更年期の不定愁訴を感じて来院される方がほとんどです。 |
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「更年期障害」ということばは定着していますが、いまだに具体的な診断基準はないんです。具体的にどの程度の症状までをそういうのか、うっかりすると他の検査でデータ的に問題がなく、しかも年齢的に更年期世代であると、それだけで「更年期障害です」となってしまうこともよくあります。 そこで、細かいところまで話を聞かないでHRTを行なうとどうか。それでも、女性ホルモンの補充によって体全体のホルモンバランスがよくなり、症状が改善してくることはありますが、それでは効かないこともよくあります。 |
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たしかにHRTには「やってみないとわからない」という側面もあるのですが、その場合は2ヶ月ぐらいをめどに使ってみることにしています。そして使う前と後とで症状の変化をよく見る。 HRTを行なって症状が悪化したということはまずありませんが、もし変わらないのなら漢方など他のものを試してみるようにしています。 |
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日本では、まだ使用できる(認可された)ホルモン剤の種類が少ないので、それを何とか工夫して、メリットがデメリットを上回るように考えます。 たとえば、プレマリンなら現在日本には0.625mg錠しか出ていません。 そこで乳腺の張りを強く感じるような場合は、これを一日一錠の所を2日に1錠にするとか、貼り薬のエストラーナなら2日に1回張るところを3日に一度にするなどですね。 これらの処方の仕方は添付文書には書いてありませんが、その患者さんの症状が落ち着いていれば、それでよしとします。 教科書的にはなかなか書けないことですが、個々の状況にあわせて工夫した中で、HRTを続けられる人は続けていったほうがよいでしょう。 |
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ここ数年、「乳がんになりやすい」という報道の影響でマイナスイメージが強くなってしまったHRTですが、更年期の不定愁訴には効果的な薬だと思います。がんのリスクなどは確かに若干ありますが、更年期医療をよくわかっている医師のもとで、しっかりがん検診などを受けて行えば心配はありません。 |
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開業30年です。私は今年からここに戻ってきましたが、今後は出産、分娩を来院のきっかけとして、30〜40代では子宮筋腫、子宮内膜症のケア。子宮がん検診、そして更年期の世代になったら不定愁訴や骨粗しょう症に対するケアを行っていきたいと考えています。そういう意味で、女性の一生を見るクリニックということですね。 |
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僕自身も、大学病院の外来では、患者さんに「自宅の近くで更年期に詳しい病院を紹介してほしい」とよくいわれました。 たしかに、大学病院で午前中の3時間で予約が30人以上も入っていれば、一人当たりの診察時間はどうしても短くなりがちです。 それでも一人一人にじっくり話を聞いていると、どんどん時間がずれていって今度は待ち時間が長くなってしまう。 現在、診療を行なっている大学病院以外の3箇所では、そこまでの混みようではないので、ニーズに応じて比較的じっくり話を聞けるメリットがありますね。 |
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特にこれからの更年期医療は、症状別に細かく見ていく必要があるでしょうね。HRTが効きやすいタイプの症状なのか、それとも単に加齢変化に対して適応できていないタイプなのか、家庭に問題があってそれが症状に出ているのか、それによって対処の方法は変わってきます。 |
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多くの医療機関では問診時に調査用紙も使っていますが、家庭の悩みなどは、なかなかそれだけでは出てこない場合もあります。「これは医療には関係ない話」と本人が思っていると、聞き出すには2回3回と時間がかかる。 特に、うつ症状など精神面での不定愁訴のある方は、その人の持っている背景が全然違います。更年期障害ということばで一概にいえるかどうか、根底の悩みの改善ができなければ症状も改善しない方もいます。 |
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婦人科全般に言えることですが、特に更年期医療はその信頼関係がけっこう大事かもしれません。 担当医とのコミュニケーションがうまく取れている方は、ひどい更年期障害に悩まされてていても、時間がかかっても少しずつ改善していきます。 また、めまいや耳鳴りなどは、HRTや漢方薬を使ってもすぐにはよくならない場合もあります。いろいろ話をしながら、その症状とうまくつきあってもらって、半年一年というレベルで見ていってもらう。すると、以前よりはめまいの発作が少なくなったとか、まだ症状があるけれどあまり気にならなくなったという形に落ち着いて行く。そういう範囲での治療ということも実際あるのです。 |
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ある程度自分の症状について整理して行くといいですね。頭痛などの発作なら、「どういう時に出やすいか」、「このところの回数」などをメモしていくとどうでしょう。 また、いろいろな症状がある中で、どの症状に一番困っているか、一刻も早く治してほしい症状はどれか、一つだけあげるのは難しいと思うので、三つぐらいあげておくといいですね。それで、だいたいのことはドクターに伝わると思います。 たとえば、ほてり、発汗が一番つらいとなったらまずHRTを行うのもいいし、精神的な不安やゆううつが主体であれば、少し抗精神薬を考えるということになります。 あと、他の薬を飲んでいる場合は、その名前を控えるか、薬を持ってきてもらうといいですね。血圧や高脂血症の薬など、他科の薬は婦人科医にはわからないものも多いのです。 |
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以前、慶應大学病院で、途中でHRT治療をやめてしまった(受診しなくなってしまった)人に文書でアンケートをとったことがあるのですが、一番多かったのが「通いきれない」という理由でした。「出血が煩わしい」「乳腺が張る」「がんが心配」といったHRTそのものへの不満よりも、受診に時間がかかる、遠いという理由のほうが高かったのです。 まさに、大病院と地域の診療所が連携し、近場の婦人科クリニックで処方してくれるところがあれば、HRTを継続できたのかもしれないなと思いますね。 |
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そうですね。HRTなどの処方は信頼関係のある地域の診療所で行い、定期的な検査で問題があったら大きな病院に行く。または検査の内容によっては大病院でなければ設備のないものもありますので、必要に応じて紹介状を書いてもらい、その後の治療はまた地域の診療所で行なう。「病診連携」というのが、これからの更年期医療にも行なわれていくといいですね。そうすると、大きな病院の待ち時間も緩和されてくるし、本当に高度な医療を必要としている人がかかりやすいシステムが出来上がって行くでしょう。 |
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不調を感じて受診したいと思う時、「どんな治療や検査を受けたいのか」を考える中で、医療機関を選んでいくことも大切なこと。そのためにも、全国各地に更年期に詳しい婦人科クリニックが増えてほしいですね。当会でも、更年期の症状を抱えた女性が受診しやすい婦人科クリニックを探し、電話相談等でご案内していきたいと考えています。(取材:メノポーズを考える会) |
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