東京都世田谷区・東急大井町線沿線で、女性と子どものための地域医として地元の信頼を得ているのが平山恵子先生。婦人科と小児科を併設していることもあり、自分だけのことでなく母として娘の体についての相談に訪れる人も多いようです。気さくな平山先生に、更年期の症状の実際からHRT処方の工夫までをうかがいました。
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一番多い症状はホットフラッシュですが、それ以外にも女性ホルモンの欠落によるさまざまな不調を訴えてくる人が多いですね。いわゆる不定愁訴であって、1つの症状ではありません。昔みたいに元気がない、気力が続かない、これまで通りの生活がちゃんと維持できない。そしてそれを、「怠け病」のように感じて自分で許せなくなってしまうのです。 |
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そうですね。うつ症状を示す方もいらっしゃいます。 ただ、以前は「更年期のうつ」というと「私はそんな精神病なんかじゃない」といって怒り出す人もいましたが、最近は「うつ」もテレビでよく取り上げられるし、わりと市民権を得て来ましたから、「きちんとお薬を飲んで元気になりましょう」ということに納得する人も多いですね。 |
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ホットフラッシュはHRTだけで改善されますが、いくつか症状を聞いていて「うつも入っているかもしれないね」という人にはHRTと抗うつ剤を併用します。 精神神経系のお薬というと、気分をぐっとおさえる働きをする精神安定剤を連想する方が多いのですが、最近はセロトニン系の神経だけに働きかけ元気を出させてくれるセロトニン取り込み阻害作用を持つ抗うつ剤があって、婦人科でもよく使われています。SSRIという種類のもので、薬品名は「パキシル」「ルボックス」「デフロメール」などですね。 この薬は効果が現れるまでに2週間ぐらいかかるといわれていますから、あまり焦らないようそれぞれの人に合ったケアをしながら治療していきます。 |
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最初は、誰も家族のことなど言いません。みんな自分のつらい症状のことで頭がいっぱいです。でも、HRTなどが功を奏してだんだん元気になってくると、いろいろなことに気がつき始めます。こちらでは、更年期とはこういうものよ、といろいろ話をしています。「100人いれば100通り、いろいろ個人差があって、あなたの場合は強く症状が出てるのね」、と。 「症状が出る要因として、自分の問題もあると思うけれど家族の問題も影響しますよ」言うと「実は…」と言う。家族のこと、子どもの受験や就職、結婚のこと、ご主人が管理職で忙しくて会話がないとか、介護の問題とかですね。 |
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症状が改善した後で、「あなたが治って一番喜んだのは御主人でしょ?」と聞くと「そうです」といいますね。「子どもたちもみんな、あなたが元気になったことでほっとしたでしょ?」と。それまで家族を支えてきた奥さんが更年期の症状でふさぎこんでしまうと、家族がみんなつらい思いをするんですね。ですから更年期の不調は家族みんなの問題なんです。 |
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そうそう、とにかくだまされたと思って一度産婦人科に来たらいいのよ(笑)。受診して、話を聞いてもらって薬を処方してもらって、結果がよければ実感するでしょう。 なかなか外に出られなくなる人もいると思いますが、思い切って「ちょっと行ってみようかな」と、自分から行動してくれるといいですね。 |
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効果はいろいろです。閉経を迎えた女性の症状がそれぞれなのだから「HRTはこれには効くがあれには効かない」ということはありません。 ただし、閉経した女性全員がエストロゲンが少なくなっているというのは共通なので、まずHRTを試してみる、というのは悪くありません。 その結果、すっかりよくなってしまう人もいれば、5分の1の症状しかとれない人もいます。「この人はうつには効いたけれどめまいには効かないな」「この場合は、めまいはよくなったけど〜」と、残った症状については別途そのための薬を処方したり専門医に紹介する、というのがいいですね。 「HRTをしてもドキドキがおさまらない」という時は1度心臓の専門医にみてもらって、それで何でもなかったら、「では、今度は自律神経の薬も足しましょう」というふうに個別に考えていきます。 |
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似た症状を示す人でも、治療の過程は一律ではないんです。一律なのは「エストロゲンが少なくなる」ということで、これは更年期医療のすべてのスタート。そこで、HRTである程度女性ホルモンの量を上げて、その後「どんな治療をプラスしていったらいいか」を 考えればいいんです。 |
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HRTには貼り薬とのみ薬があります。貼り薬のエストラーナなどの場合よく使う手なのですが、1枚で2日間が基本の量なのですが、「1枚で2日間貼りつづけて、次の1日を休んで又1枚で2日間というようにしてみましょう」などと間をおいてみます。しかし間を空けすぎて又症状が戻った場合、「効果と症状を見ながら最適な量を決めていくという方法をとりましょう」と本人と相談しながら良い方法を見つけていきます。また、貼り薬は皮膚から吸収されるので、色々な薬をすでに内服の方や、内服したくない方にとっては便利ですね。 飲み薬のプレマリンなどの場合は毎日飲むのを1日おきにするというように間を空ける。1日おきでもまだマイナートラブルを感じたら、「じゃあ、月水金で7日に3錠にしてみようか」とか、「週に4錠を自分の好きなサイクルで飲むようにしたら」というように、その人に合ったオーダーメイドで出します。症状さえ抑えればよいのですから、その人の体にあった形で限りなく少なくしたっていいんです。 |
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女性ホルモンが飲み薬でも貼り薬でも周期的併用投与法では1ヶ月に2週間前後プロゲステロン剤(プロベラなど)を飲みます。それで、月の前半に飲むか後半に飲むか、というのはその人に都合の良い日程にしますね。というのはプロゲステロンを2週間飲み終わった後に出血(消退出血:体内に黄体ホルモンが減少するために起こる出血で排卵は伴わない)があるから。 それを見越して、たとえば仕事などの関係で月の中盤に出血が起こったほうが対処しやすいという人は、前半にプロゲステロンを飲む。という様にしています。 |
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確かに「閉経したのに、また生理が来るのは面倒」という人もいますね。でも、「生理のように周期的な状態で子宮の内膜がはがれてくれるので、いつもフレッシュな状態にあるのよ。だから子宮体がんが防止できるのよ」と言っています。 そのうち反応しなくなって出血してこなくなるかもしれない。「出血があるうちは体が若返っていることよ、よかったね。」と言うと納得してくれているようです。 がんの心配をする人もいますが、いつも言うのは「ちゃんと婦人科で検診しているのだから、HRTも何もしないで婦人科に来ない人よりはずっと早期発見できる率が高い。むしろ心配がないんじゃない?」ということなんです。 |
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45歳前後の生理のある人でホットフラッシュを抱えている人は結構いるんです。その場合、おすすめするのは低用量ピルですね。というのは、生理があるときのホットフラッシュやイライラは基本的にエストロゲンの欠乏というよりも、排卵期と黄体期の波がある為に起こっていて、PMS(月経前症候群)のような傾向とも言えます。そうした波の出力を低用量ピルでコントロールするということなのです。 |
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ピルは3週間飲んで1週間休むというサイクルで処方しますが、その休んだところでホルモン数値の検査をします。すると、その人が排卵しているかどうかがわかる。まだ排卵しているようなら引き続き低用量ピル。そのうち数値が変わってきてそろそろ閉経になったなあと思ったらHRTに変える。という方法を取っています。 そうしたら、ずっと不調を感じずに閉経後も元気でいられるんですよ。 老年期に入ると、HRTは骨密度の低下や高脂質血症などが起こった時に補助的な薬としても使われます。「ホルモンは怖い」という思い込みで避けるのではなく、自分に必要と感じたら試してみるといいですね。 |
とても気さくで細やか。健康で楽しい生活のための前向きな提案をしてくださる先生です。 「こんな症状で婦人科にいってよいかしら?」「HRTって本当はどうなの?」と思っている方、一人で悩みを抱え込まずにまず受診してみませんか。 |
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