●トイレが間に合わない!
●くしゃみをした拍子に…
●夜中に何度もトイレに起きる
いわゆる頻尿と尿漏れの症状ですが、単に「年だから」ですませたくない問題です。この症状の陰にはいくつかの原因があります。中でも非常に多いのは次の二つの疾患です。
まず、重い荷物を持った時、せきやくしゃみをした時などおなかに力が入ったときに尿がもれてしまうのが、「腹圧性尿失禁」。この場合、尿意は感じていません。
女性の骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋群)が弱り、膀胱や尿道など骨盤の中にある臓器ををきちんと支えられていないために起こるものです。妊娠や出産のために骨盤底筋が弱くなることもあるし、老化、肥満も腹圧性尿失禁の要因となります。
一方、「急に強い尿意を感じる」「トイレまで間に合わない」「夜中に何度も尿意」という状態をもたらすものとして、最近注目されているのは「過活動膀胱」という疾患です。
尿がたいしてたまっていないのに膀胱が勝手に収縮を始めて尿意を感じさせるのです。このため、本当にもれてしまうのが「切迫性尿失禁」。そこまでいかなくても、40代以降のかなりの人が過活動膀胱に悩まされているといわれます。アメリカの調査では、全女性の35%が尿失禁に悩んでいます。日本人では8人に一人というデータもあるようです。
経験者でなければわからない苦しみが、尿失禁にはあります。
「夜中に何度もトイレに行くためにいつも睡眠不足で日中でも頭がぼんやり。集中力を欠いている」という人がいます。「万一もれたら恥ずかしい」という気持ちで自宅にひきこもった状態になってしまう人や、好きだったスポーツやアウトドア活動をあきらめてしまう人、尿がたまるのが怖くてほとんど水を飲まずに行動し、脱水症状を起こしてしまう場合だってあるのです。
「たかが尿失禁」ではなく、それが心身にとってどれだけストレスになり、人生に悪影響を与えるかは計り知れません。
あきらめず、自分の症状に合わせて解決策を探しましょう。
●腹圧性尿失禁には「骨盤底筋体操」という筋力をつける運動が役立ちます。(この体操の方法については、ネット上にもいくつか紹介しているサイトがありますので検索してみてください)
外科的治療としては、膀胱頚部つり上げ術(TVTスリング手術)が行われています。
●過活動膀胱では、尿を我慢して膀胱を拡大するための膀胱訓練という治療もあります。

膀胱の収縮をおさえ、神経に働く抗コリン剤(オキシブチニン・プロピベリン)は、腹圧性尿失禁と過活動膀胱のいずれにも効果のある薬剤です。これまでは、抗コリン剤には口の渇きや便秘などが起こりやすかったのですが、こうした副作用を軽くしつつさらに有効性を高めた新薬が期待されています。
昭和大学横浜市北部病院(神奈川県横浜市都筑区)泌尿器科では、月曜日午後に女性専用の「女性泌尿器外来」(担当:島田誠医師)を行っています。ここでは泌尿器科と婦人科が隣接しており、連携をとりあって治療を行っているのも特徴の一つ。腹圧性尿失禁や性器脱(膣脱)に対する最先端外科的治療を行っています。特に女性にとっては「どの科へいったらいいかわからない」と不安を感じやすい疾患であるだけに、このような配慮が医療機関全体に広がっていくのはとてもうれしいことです。
・昭和大学横浜市北部病院 http://www10.showa-u.ac.jp/~hokubu/index02.html
(トップページ「診療科の特徴」から「泌尿器科」をクリックしてください)
・東京女子医科大学 東医療センター 泌尿器科
http://www.twmu.ac.jp/info-twmu/department/d12-Kidney1u.html
失禁に関するさまざまな問題を扱っているNPO団体「日本コンチネンス協会」のサイトには、失禁治療を行う医療機関のリストがあります http://www.jcas.or.jp/