第10回メノポーズフォーラム

メノポーズフォーラム

 第10回メノポーズフォーラム開催報告(2004)

  

「最新更年期医療と心のケア」

(※この文章は、平成15年4月19日に行なわれたメノポーズを考える会第10回フォーラム「最新更年期医療と心のケア」講義録を一部抜粋したものです。
さらに詳しい内容は当会ニュースレターVOL.13に掲載されています。入手ご希望の方は事務局までお問い合わせ下さい)


 ・更年期の心のケア  (堀川直史 東京女子医科大学神経精神科教授)
 ・更年期に起こる症状とその対処法
         (東舘紀子 東京女子医科大学成人病センター産婦人科講師)
 ・更年期をめぐる最近の話題 (小山嵩夫 小山嵩夫クリニック院長)


 更年期の心のケア  (堀川直史 東京女子医科大学神経精神科教授


「更年期の心理的な変化」から、中年期の発達課題として挙げられるのは「それまでの役割の行き詰まり」と「自分の限界の実感」です。
自分で、「これでよいのだ」と思っていたことが、もう一度揺らいできて大変不安になってきます。不安になると、人は「幼児的心理の再現」と言って、もう一度人に頼りたい気持ちが強くなります。
すると、過剰な競争心が生まれて、つまらないライバル意識を発揮するなど子どもっぽいことをしてしまうこともあります。「大人気ない」行動というわけですが、これはむしろ若い人にはわからないことかもしれません。

では、こうした危機をどのように解決していったらいいのでしょう。
役割の行き詰まり、自分の限界の実感。これらは新しい役割を取得しようとし、自分が変わっていく中で、表裏一体で解決していくものといえます。
つまり、自分の限界を知り、軌道修正をする中で新しい役割を獲得して限界を乗り越える。
限界を知ることと自分を変えることが表裏一体で解決していくのではないかと思われます。
また、それまでの役割は社会的な役割、組織の一員としての社員だったり、家庭における主婦だったり、子どもの母だったり、そういった役割に自分を一致させて自分の立場を作ってきたわけですが、中高年では仕事をやめたり、子どもが巣立ったりすることでそこからいったん離れてしまわなければいけなくなります。

口で言うほど簡単なことではありませんが、結局、社会からは「役割を変える」ことを求められているのだと自覚する必要があるでしょう。
もっと言えば、「社会的役割から距離を置いても自分の価値を見つけることができる」、または「自分の価値などそれほど重要なものでなくなる」という意識の変化がこの時期に求められているのかもしれません。

≪精神科における更年期障害の診断と治療≫

まず狭義の更年期障害と精神疾患とを正確に診断する必要があります。
精神疾患と診断されれば精神疾患の治療を行った方がよいからです。

日本では今のところHRTを用いる精神科医は少ないのですが、これからは抗うつ剤などと併用することを考えていくべきだと思います。
私たち精神科医はHRTはまだまだ慣れてはいません。そこで、今後は婦人科の先生と協同の診察体制を作りたいと考えています。個人的には産婦人科の先生と少しずつお話をしています。まず、精神科医がもう一度、高年齢・更年期という面をよく考えて、受診された患者さんを診ていこうというところからはじめて、その後で婦人科の先生と協力して診察するという体制をぜひ作っていきたいと考えています。


 更年期に起こる症状とその対処法
(東舘紀子 東京女子医科大学成人病センター産婦人科講師)


≪ホルモンの低下とHRT(ホルモン補充療法)≫

「エストロゲン欠乏症状」というと、最も言われるのは性器の萎縮・乾燥感、外陰部がヒリヒリするといったことですが、他に自律神経失調症状や精神神経症状も出ます。

ですから、こういった治療にもホルモン補充療法を使います。「ホルモン補充療法」とピルなどを使った「ホルモン療法」とは少し違います。
ホルモン補充療法(以後HRT)とは、昔のホルモン値が100くらいあったものを今は50くらいまでに補いましょう、というものです。

よく、「ホルモンは怖い」という人がいますが、かつて自分の体にあったものですので、むしろ自然に近いものと考えていいのです。
ふだん、コレステロールの薬、血圧の薬など何気なく飲んでいますが、そちらの方が化学合成薬品で自然ではないとも言えます。

また、エストロゲン欠乏がなくて、自律神経失調やうつ等がある方は抗うつ剤を使うこともあります。その他の治療法としては、漢方薬が代表的です。

≪老化防止としてのホルモン補充療法≫

ホルモン補充療法(HRT)は、更年期障害の治療のひとつとしての役割があります。
しかし、HRTの本来の目的は、骨粗鬆症の予防、高脂血症の予防、アルツハイマーの予防にもあります。
そのために、目先の症状を改善するためにだけではなく老化予防として長く飲みましょうというのが、HRTの本来の形です。

HRTをすると骨密度が上がることはよく知られています。
いったん骨密度が下がった人でもホルモン補充をはじめますと骨密度は上がります。
私自身は、40〜47歳で骨密度が10%落ち、「ずいぶん落ちるものだなあ」と実感したものでした。

また、エストロゲンを補充することは脳に対して非常にいい作用があるということがわかっています。
HRTをしますと大脳と小脳への血流量が上がる。また脳神経に対して保護作用があり、神経の栄養になる、修復が早くなる、ということが言われています。

そこで、アルツハイマーの分野でも注目されており、HRTをしている人はつまづくとかよろめくといった事が少ないといわれています。
小脳は体のバランスをとる機能を司っているところなので、そのような効果があるというわけです。また、不整脈がHRTで防げるということもあります。

もちろん、ホルモン剤を飲んでいるからといって、寝転がってテレビを見ていても骨や脳が元気でいられるというわけではありません。健康のためには適正体重の維持と禁煙、運動、食生活、ストレスを溜めないこと、そういった努力することが必要です。


 更年期をめぐる最近の話題 (小山嵩夫 小山嵩夫クリニック院長)


≪80歳過ぎまで元気で過ごすための「更年期医療」≫

今日、女性の場合は46歳以上が人口の半分以上を占めています。
男性も同様に平均年齢は上がっており、現実に昭和24年生の人は日本最高の270万人生まれているわけですから、これから日本はある時期まではますます高齢化していくことになります。

誰が考えても半分以下の人口で倍以上の老人をケアするというのは難しいことです。
そこで、自分のことは自分で行って、下の世代に負担をかけないということが、社会全体にとってみても大切ですし、本人にとっても一番よいことでしょう。

「死ぬまで元気」ということ。更年期医療とは、更年期から老年期にかけていかに丈夫に過ごすかといった学問なのです。

≪HRTの今日的話題≫

2002年にNIH(アメリカ国立衛生研究所)という研究機関が、ホルモン補充を行っている女性と行っていない女性で比べた、「心臓血管系への効果は(あるといわれていたが)ない」「むしろ5年以上続けると乳がんが増えるなどのデメットが多い」という報告をして大混乱になりました。

このことで日本でも貼り薬はあまり影響を受けませんでしたが、プレマリンという飲み薬は増加率が例年15%くらいだったものがやや減少となりました。

しかし、その研究結果にもいろいろ問題が指摘されています。やはり日本人によるデータを作らなければなんともいえないところでしょう。

この調査は10年間で700億円かけて行なわれた大規模なものなので、それなりに世界中で重視されていますが、実際に外来で診ている印象とはかなり違っています。
私のクリニックでHRTを受けている患者さんにも1年に1例くらい乳がん発症例はありますがこれは決して多いほうではなく、むしろHRTを行っていない女性たちより定期的に検診を受けていることによるメリットが多いと思われます。

HRTを行うためには、婦人科や乳房の定期健診はもちろん、食事や運動にも十分気をつけて生活されているからです。
HRTを行なうかどうかは別としても、中高年になったらこうした生活管理は必要なことではないでしょうか。

こういったことをマスコミや「HRTは怖い」という人々はきちんと把握しているかどうかということも大きな問題だと思います。
こうした点も含め、やはり女性のみなさん自身がよく勉強して、なにが良くてなにが悪いのかをわかって、自分自身の健康を守っていくということが大事なことでしょう。
ページトップに戻る

前に戻る



  <メノポーズを考える会>

メノポーズを考える会とは

理事長あいさつ

入会案内

更年期無料電話相談

フォーラム

語り合いの会

その他の活動

制作物(書籍・冊子・他)

メディアと活動報告



メノポーズとは
 英語で「閉経」「更年期」
 のこと。

元気に過ごす10か条