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-治療法と医療機関を探す- このページは女性ホルモン製剤に関する記事です。

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)

LEPとは

LEPとはLow dose Estrogen Progestin Combinationの略で低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤のことです。

LEPはOC(Oral Contraceptives:低用量経口避妊薬)とほとんど同じ成分の医薬品ですが、OCは避妊を目的とした医薬品で自由診療となりますが、LEPは月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛などの疾患の治療を目的とした保険薬となります。

LEPが生まれた背景

現代女性はライフスタイルの変化から昔の女性に比べ月経回数が大幅に増えており、そのため月経に関連するトラブルや疾患が増えていることが問題となっています。

もともとあったOCには月経痛が抑えられるなど避妊以外の副効用が注目されていましたが、LEPはこのような効果を適応として新たに治療薬として承認されたものです。

LEPの作用

LEPにはOC同様エストロゲンと黄体ホルモンの二つの女性ホルモンが含有されていて、服用することで脳下垂体に働きかけ、卵胞の発育が抑えられ排卵が抑制されます。

また、LEPを服用していると子宮内膜が厚くならないので、月経量が減るだけでなく、痛みの物質であるプロスタグランジンの過剰な生成が抑えられるため月経痛も抑えられます。

なお、LEPを服用している間は、子宮の内膜が維持され月経のような出血はおこりませんが、休薬すると消退出血という月経のような出血が起こります。

LEPを服用していると、子宮内膜は厚くならず出血量も減ります。また、女性ホルモンの変動がなくなるため、                      月経前の不調なども軽くなることが分かっています。                           

LEPを服用していない時の女性ホルモンの変動と子宮内膜の変化の図
図1 LEPを服用していない時の女性ホルモンの変動と子宮内膜の変化
LEPを服用している時の女性ホルモンの変動と子宮内膜の変化(服用1周期目)の図
図2 LEPを服用している時の女性ホルモンの変動と子宮内膜の変化(服用1周期目)

連続投与のLEP

もともとLEPの服用方法もOC同様、28日ごとに休薬して消退出血を起こす周期的な服用方法でした。しかしこの休薬期間に月経痛が抑えられはしているものの、頭痛や骨盤痛といったマナートラブルが残る場合があることから、休薬期間を設けずに長期間連続して服用するLEPが新たに登場しました。

長期間連続投与のLEPは、月経困難症の症状を緩和するとともに28日ごとに休薬して消退出血を起こす周期的投与のLEPよりも月経痛を伴う日数を減らすことが分かっています。

また、子宮内膜症に伴う痛みに関しても、周期的投与のLEPが無効だった場合でも、長期間連続投与で痛みが軽減することも分かっています。

このように、現在では月経にまつわる疾患がある場合は妊娠を希望するまでLEPを使用して月経の回数を減らすことで症状を軽減する治療法が選択できるようになっています。

LEPの副作用

OC同様、服用初期に頭痛や悪心、不正出血などのマイナートラブルが起こりますが、ほとんどの場合は服用を続けるうちに治まります。

長期間連続投与のLEPは、途中で不正出血が起こる場合がありますが、その場合はいったんリセットして新たに服用を開始するなどの方法が取れるものもありますので、製剤ごとの服用方法を確認するようにしてください。

また、長期間連続投与のLEPに関しては、出血回数が減ることに不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。LEP服用中は妊娠中に似たホルモンバランスのため、妊娠中に月経が起きないのと同様に出血が起きないという仕組みですので、毎月出血が起こらなくても身体にとって問題となることはありません。

むしろ、月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みの抑制を目的とする場合は、痛みを伴う出血の回数はなるべく少ない方が良いことが分かっています。

LEPは何歳から使えるのか?

LEPは基本的には月経がある女性であれば使用することができますが、初経後の数か月は月経が安定していない場合もあるので、月経周期が安定してきたら使用開始できます。

一般社団法人 日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門薬剤師/松原 爽