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-治療法と医療機関を探す- このページは女性ホルモン製剤に関する記事です。

低用量経口避妊薬(OC)

OCはライフイベントを積極的に考える女性の選択肢の一つです

現代女性の生き方は多様化しており、学業や就職、結婚や妊娠出産といったライフイベントの選択も様々です。その中でも特に女性にとって大きなライフイベントと言える妊娠出産は人生を大きく左右するものです。

産むか産まないか、産むならいつ産むか、今は妊娠出産を希望しないので予期せぬ妊娠を防ぐ、といったことをしっかり考える女性にとってOCは大切な選択肢の一つになっています。

OCとは

OCとはOral Contraceptivesの略で低用量経口避妊薬、いわゆるピルと言われているものです。

OCは女性が主体的に使用することができ、正しく服用すればほぼ100%避妊でき、服用を止めれば排卵が戻るため、望まない妊娠を防ぐためだけではなく、望むときに妊娠するための医薬品でもあります。

日本では1999年に認可されましたが、世界では日本よりも約40年も前から多くの女性たちが使用しており、膨大なエビデンスが蓄積され、数ある医薬品の中でも研究されつくした医薬品の一つと言われています。

現在日本で使用できるOCは低用量タイプのもので、昔の高用量や中用量タイプのものと比べてもはるかに安全性が高まったものです。

OCの避妊効果

OCにはエストロゲンと黄体ホルモンの二つの女性ホルモンが含有されていて、服用することで脳下垂体に働きかけ、卵胞の発育を抑え排卵を止め妊娠を防ぎます。

また、OCを服用していると子宮内膜が厚くならないので、万が一排卵し受精したとしても受精卵が着床しづらくなります。更にOCに含有されている黄体ホルモンは子宮の入り口の粘液を変化させるため精子を子宮に入りにくくさせるといった作用も持っています。

このように、OCは排卵を抑えるだけでなく様々な作用で高い避妊効果を示しています。

様々な避妊法の1年間の失敗率  
表1 様々な避妊法の1年間の失敗率

OCの服用方法

OCは1日1錠を毎日ほぼ同じ時間に服用することで効果を示します。

飲み薬なので、飲み忘れは避妊効果に影響が出ることがありますが、飲み忘れが心配な方でも、歯みがきの後や寝る前に服用するなど、毎日必ず行うことにあわせて服用することで習慣化できます。

なお、OCには様々なタイプのものがあるので自分に合った製剤を選ぶことができます。

OCの副作用

服用初期に頭痛や悪心、不正出血などのマイナートラブルが起こりますが、ほとんどの場合は服用を続けるうちに治まります。

OCに関しては、太るのではないかと心配される方もいるようですが、低用量の経口避妊薬ではそのようなことはありません。また、OCを服用していると不妊になるのではないかという誤解もあるようですが、OCを服用しているときは妊娠中と似たような女性ホルモンのバランスになっているので排卵が止まっているため、服用を止めれば元の状態に戻るだけです。ですのでOCの服用はOC中止後の妊娠率には影響を与えないことが分かっています。

また、静脈血栓症のリスクを心配される方もいますが、静脈血栓症はOCを服用していない女性でも起こるもので特に妊娠時や出産直後に高くなるものです。OC服用による静脈血栓症の発症頻度は妊娠時や出産直後と比べても非常にまれであることが分かっています。

静脈血栓症はエコノミークラス症候群としても知られていますが、OC服用しているしていないに関わらず、前兆がみられたら早期に適切な処置を行うことが大切です。

OCの避妊以外の効果

OCには様々な避妊以外の効果があることが知られています。

まずOCを服用していると月経周期が整います。具体的には28日周期で出血が来るようになります。また服用方法を工夫すれば出血の時期をずらせるなど月経周期を自分でマネジメントすることができますので、旅行や出張、スポーツをする人でしたら大会などに生理があたらないようにマネジメントすることが可能です。

更に月経時の痛みを軽減し、子宮内膜が厚くなるのを抑えることで出血時の量を減らすことができるほか、ホルモン変動が安定するので月経周期に伴う精神的な不調も改善することが分かっていますので、月経に振り回されないで生活することができます。

その他にもOCはホルモンバランスを整えることからニキビを改善するだけでなく、排卵を抑え子宮内膜を増殖させないことなどから卵巣癌や子宮体癌のリスクまでも低下させることが分かっています。

OCの使用にあたって

OCは医薬品ですので使用にあたっては婦人科医に相談することが必要です。

婦人科を受診することをためらう女性もいるかもしれませんが、婦人科医は医薬品を使う使わないに関わらずさまざまな女性特有の健康課題の相談にも乗ってくれますし、女性にとって必要な婦人科検診もしてくれるところです。

OCをきっかけに、婦人科医のパートナードクターを持つことも良いのではないでしょうか?

一般社団法人 日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門薬剤師/松原 爽