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-女性の健康について- このページは更年期以降に起こる疾患に関する記事です。

40代から女性が陥りやすい筋力低下。「サルコペニア(筋肉減少症)」は、ふくらはぎの太さで測れます

サルコペニアを予防する片足立ち体操

更年期世代は体力、筋力低下にも要注意

「何でもないところでつまづく」
「階段をのぼる途中で、しんどくて足が上がらなくなってしまう」
「片足立ちで靴下がはけない」

こんな足腰の弱さやバランスの悪さを感じることはありませんか? 
サルコペニアとは「筋肉がやせて筋力が落ち、日常生活の動作ができなくなること」を言います。

日本語ではかつては「加齢性筋肉減少症」といわれてきました。「加齢性」という名前のとおり、老化に伴って筋肉量が減り、骨折から寝たきりにつながるという高齢世代の問題と考えられてきたのです。

しかし、現在では高齢期でなくても、体を動かす習慣のない人や栄養不足の人では40代、50代でもサルコペニアになる危険があることがわかってきました。

特に女性はもともとの筋肉量が男性より少ないうえに、体重増加を気にしてタンパク質などの栄養をしっかり摂ってこなかった人、若い頃からダイエットを繰り返して筋肉が落ちている人もおられ、サルコペニアのリスクは男性より高いと考えられます。

健康体であっても、仕事柄「日頃座りっぱなしの生活をしている」という人も注意が必要です。現代人の生活はとても豊かで便利になり、体を動かすことが少なくなっています。「こんなに忙しくしているのに」と思っても、実際には一日中座って仕事をしている人も多く、いつの間にかほとんどの人が運動不足になっているのです。

「輪っか」テストで足の筋肉量をチェックしてみましょう

筋力の十分あ人のふくらはぎは、両手のわっか(親指と人差し指の輪)で指が届かない
両手の親指と人差し指で「輪っか」を作り、ふくらはぎを包んでみましょう。両手の指がつかないくらいの太さがあれば、今のところサルコペニアの心配はありません
親指と人差し指の「わっか」でふくらはぎを包み、指が届くなら「サルコペニア」の危険。今すぐ筋肉量を増やす運動と食事をこころがけて
両手の親指と人差し指でふくらはぎを包んだとき、指と指の間にすきまがあくようなら、筋肉量は不足しており、サルコペニアの危険があります。

なぜ、動かないと筋肉は痩せてしまうのか

筋肉(骨格筋)は骨や関節の周りにあって骨を支え、収縮することで関節の曲げ伸ばしを行っています。「立つ」「歩く」「しゃがむ」などの動きがスムーズであるためには、筋肉が十分に強く、しっかりとよく収縮する必要があります。

では、筋肉が痩せて、筋肉量が減ってしまうとは?

筋肉(骨格筋)は、筋線維という細長い筋細胞の集合体です。筋線維の数は決まっていますが、歩いたりストレッチをしたり、よく動かすことで1本1本が太くなり、しっかり収縮するようになります。筋トレとは、この1本1本の筋線維を太く育て、動ける筋肉の量を増やすことなのです。

逆に、運動をしない生活が続いて筋肉を使わないと筋線維は細くなり、しっかり収縮できなくなっていきます。この状態が続くと、細く弱くなった筋線維は体を支えられなくなってしまいます。これがサルコペニアです。

<サルコペニアの診断基準>

・握力:男性で30kg、女性で20kg未満
・歩く速度:0.8m/秒以下
・筋肉量の減少:BMI が18.5 未満、または下腿囲が30cm 未満

                参照「サルコペニアの簡易判定法(NILSLSA)」

医療機関では上記のような基準により、サルコペニアかどうかの判定を行います。この基準にあてはまらなかったとしても、冒頭にあげたような異変を感じたら予防をかねてサルコペニア対策をとりましょう。

適切なトレーニングを続けていくことで再び筋線維を太くし、筋肉量を増やして動ける体に戻すことができます。

<サルコペニア対策エクササイズ>

上のイラストの「輪っかテスト」で「サルコペニアかも‥」と感じたら「少なくとも週に3日は20~30分歩く」「軽い筋トレ」などを習慣にし、筋肉を作るための食生活を心がけましょう。筋肉量はいつからでも増やすことができます。

サルコペニアの予防や改善には、「レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)」が適していることがわかっています。レジスタンスとは抵抗という意味で、片脚立ちやスクワット、ダンベル体操など、筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動のことです。

・片脚立ち
転ばないようテーブルなどにつかまりながら、左右1分間ずつ1日3回行う。

・スクワット
足を肩幅に開き、深呼吸をするペースでひざをゆっくりまげて中腰になり、もとに戻る。5~6回ずつ一日3回行う。転ばないようテーブルに手をつくか、後ろにいすを置くとよい。

更年期の症状があってつらいときも、気分のよい時間に、自分に合ったレベルで少しずつとりいれてみましょう。しっかりしたテーブルや手すりなどにつかまり、安心できる環境で行うことも大切です。
血流がよくなると代謝もよくなり、肩こりや食欲不振を改善することにもつながります。

<サルコペニアを予防・改善する食事のポイント> 

筋肉を作るには、1日3食をバランスよく食べる中で、材料となる栄養素をしっかりとる必要があります。特にとりたいのはビタミンD、タンパク質、ポリフェノールなどの抗酸化物質、脂肪酸など。中でも、ビタミンD は骨折抑制効果があるとして骨粗しょう症の治療薬として使用されますが、筋力増加と転倒抑制効果があるという研究結果も出ています。いずれも、サルコペニアの予防と改善が期待できる報告です。

ずっと動ける体を維持するために
ロコモティブシンドローム、サルコペニア、フレイルの連関に注目を

女性では50歳すぎ、男性では60歳過ぎから骨量も減少し、骨粗しょう症や変形性関節症が起きやすくなります。このような骨の病気から骨折、寝たきりや要介護の状態になるものを「ロコモティブシンドローム」と言います。サルコペニアは、ロコモティブシンドロームの中でも、特に「筋肉量の減少と筋力低下」に注目した概念だといえます。

また、老年医学では、いつの間にか体重が減り、疲れやすくなったという身体的な衰え、閉じこもり、経済力の不足といった精神・心理的、社会的な衰えなど、加齢に伴う様々な衰えをまとめて「フレイル」という言葉でいい表しています。

介護予防、寝たきりの防止、そして一生自分らしくいきいきと生きるための対策として、ロコモティブシンドローム・サルコペニア・フレイルの3つに注目してください。骨や運動機能だけでなく、筋力をつけることが心と体の健康寿命を延ばすことにとても重要な役割を果たします。