寝たきりにならないために 知っておきたい骨粗鬆症
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨代謝のバランスが崩れることにより、骨の量(骨量)が減り骨がもろくなることで骨折しやすくなる病気です。
骨粗鬆症の患者さんは女性に多く、特に閉経後急増し、50歳代からは椎体骨折、70歳代以降は大腿骨近位部骨折の発症頻度が高くなることが知られています。
骨粗鬆症は自覚症状が現れにくいため見落とされがちですが、骨折は要介護の原因の一つでもあり高齢者での骨折は寝たきりになることもあるため早期発見早期治療が必要です。
なぜ骨粗鬆症は女性に多い?
骨粗鬆症の原因は様々なものがありますが、女性に多い理由は女性ホルモンとの関係にあります。
女性ホルモンであるエストロゲンは骨においては破骨細胞の分化・作用・活性を抑制して骨代謝のバランスを保ち骨量を維持する働きを持っています。ですので、エストロゲンが欠乏すると破骨細胞の働きを抑えることができなくなり、新しい骨を作るスピードが追い付かなくなるため骨代謝のバランスが崩れ、結果として骨密度が減少し骨強度も低下します。
女性は閉経するとエストロゲンが欠乏しますが、骨密度は閉経後の10年間で約15%減少するともいわれています。そのため同年齢でも閉経している人は閉経していない人よりも骨密度は低いというデータもあります。
また、長期にわたりエストロゲンが低い状態が続く無月経なども骨量が減少するリスクになるため注意が必要です。
骨粗鬆症の症状
骨粗鬆症の初期には症状がみられないため、気づかないことがよくありますが、次第に背中や腰の痛みやだるさを感じるようになり、進行していくと背が縮んだり、腰が曲がったり、背中が丸くなっていきます。
早期発見早期治療のためにも閉経など骨粗しょう症のリスクが高くなってきたら、定期的に骨密度の測定を受け自分の骨密度を知っておく必要があります。
骨粗鬆症の予防・治療
基本はカルシウムとタンパク質を重視したバランスのよい食事と適度な運動が大切です。また、1日10~20分程度の適度な日光浴もビタミンDが皮下で合成され骨を強くすることに役立ちます。
また、女性は18歳~20歳頃にpeak bone mass(最大骨量)を獲得しますので、この時期にしっかりと骨を増やしておくことも重要です。
骨粗鬆症の薬剤に関しては、現在様々なものがありますが、女性の場合は閉経前後にエストロゲン欠乏症状の一つとして骨量が減少することからも、閉経後間もない時期には正常な骨代謝回転を促進し、しなやかで折れにくい骨を作るHRTが適しているとされています。
一般社団法人 日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門薬剤師/松原 爽