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-治療法と医療機関を探す- このページは女性ホルモン製剤に関する記事です。

IUS(子宮内システム)について

IUSとは

IUSとはIntra Uterine Systemの略で、女性ホルモンの一つである黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システムのことで、一度の装着で、その効果は最長で5年間持続する医薬品です。

IUSは飲み薬と違い、局所的に作用するため、全身への影響を減らしつつ、子宮に対する様々な効果が長期にわたり期待できる選択肢として注目されています。

日本では、月経困難症、過多月経の治療薬として保険適応になっています。また保険適応外ですが避妊の適応もあります。

IUSの作用

1,月経痛を緩和する・月経量を減らす

IUSは子宮の内膜に直接作用することで、子宮内膜の増殖を抑え月経時の出血量を減少させるほか、プロスタグランジンの産生を抑えることで月経痛を緩和します。

2,避妊

IUSは子宮内膜を薄くするので受精卵の着床を防ぐほか、黄体ホルモンが子宮の入口の粘液を変化させて精子が腟の中から子宮内へ進入するのを防ぐため、避妊の効果もあります。

3,ホルモン補充時の内膜保護

IUSは子宮内膜の増殖を抑えるため、更年期のホルモン補充療法時の内膜保護の作用もあります。

*日本ではホルモン補充療(HRT)時の内膜保護の保険適応はありません。

その他、更年期のシームレスな移行、OCやLEPが使えない人にも

40代になると20代30代と同じ食生活や生活リズムで生活していても、エイジングに伴い体重が増えてきたり血圧が高めになったりと生活習慣病の心配が出てきます。

肥満や高血圧は女性ホルモン製剤のリスクを上げる要因のため、20代30代から低用量経口避妊薬(OC)低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)の使用を続けてきた人の中にはベネフィットよりリスクが高まり継続できなくなる人も出てきます。

IUSは女性ホルモンの黄体ホルモンを放出する医薬品ですが、その作用が局所であるため、このような人の選択肢として考慮されることもあります。

また、IUSを使用している状態で閉経を迎え、ホルモン補充療法(HRT)が必要になった場合は、すでにIUSで子宮内膜の保護が出来ているので、IUSを装着したままエストロゲンだけを補充することでHRTを始められます。

このようにIUSはOC・LEPからHRTに移行する微妙な時期をシームレスに移行させるための選択肢としても期待されています。

<参考リンク>

40代に気をつけたい事

IUSが適している人・適していない人

IUSを使用できるかどうかは婦人科の医師の診断が必要です。詳しくは医師にご相談ください。

IUSが適している人

・月経量が多く貧血がある人

・月経痛が酷い人

・妊娠を希望しない人(次の妊娠まで期間をあけたい、長期の避妊を希望する人)

・OCやLEPなどの飲み忘れが心配な人

IUSが適していない人

・妊娠している人または妊娠の可能性がある人

・月経時以外の不正出血がある人

・子宮の形や位置に異常がある人

・性感染症にかかっている人

・先天性の心疾患や心臓弁膜症、糖尿病や肝障害などの疾患がある人

この他にも医師の診断でIUSに適さない状態がある場合は使用できない場合があります。

IUSの使用に関して

IUSは婦人科の医師の診断をうけて、月経開始後7日以内に医師に装着してもらい、装着後はそのまま帰宅できます。

1度の装着で最長5年効果が続きますが、途中で使用をやめたい場合は医師に除去してもらいます。

IUS装着後妊娠を希望する場合も、装着をやめると元の状態に戻りますので、妊娠できる状態だった人は妊娠できるようになります。

IUS使用後のカラダの変化

装着してから数日は出血や下腹部痛などの症状がありますが、通常は時間の経過とともに減っていきます。

また、装着後数ヵ月間は、月経時以外に出血が続くことがありますが、こちらも通常は日数の経過とともに消失します。

IUSを装着していても,月経は通常の周期で起こりますが、日数が経過するとともに月経の量が減り,痛みの症状も軽くなってきます。

なお、IUSは黄体ホルモンの効果によって子宮内膜が薄くなるため、1年後くらい経過すると約2割の人は月経の出血が無くなります。

月経の出血が無くなっとしても、IUSは局所的に作用しているだけですので元々あった女性ホルモンの分泌がなくなるわけではなく、排卵は抑えられていません。

一般社団法人 日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門薬剤師/松原 爽